病院長はイメージ以上に多忙です

一般方が「病院長」と聞いてイメージするのは、マホガニー調のインテリアで統一された広い院長室で、白衣を着て書類に目を通す好々爺…と、こんな感じではないでしょうか? しかし、実際の病院長は秘書にスケジュール管理を任せないといけないほど、分刻みの仕事が待っているケースが多いのです。

病院長は、意思として週に数回の外来を受け持つだけでなく、入院患者の主治医としての回診や、病院スタッフの仕事ぶりを見て回る管理回診などを行います。

また、病院の組織のトップに立つものとして、院内外の様々な会議にも出席しなければなりません。病院の運営に関する幹部会議や、安全・感染の管理、医療連携の委員会などに出席し、その間に多くの書類を決裁します。

さらに、市や県などの医師会、病院会、専門学会、また医師の派遣要請などのために各大学の医局の教授を訪ねるなど、院外での活動も目白押しです。

病院長には、臨床や医学分野で豊富な業績を持つ医師も多く、例えば日本内科学会といった学会の座長を依頼されたり、医学雑誌などから執筆依頼も少なくありません。そのための資料を読んだり、原稿を書いたりする時間も必要です。

どこの病院の院長も、業務を抱えて多忙ですが、病院の規模や、所在地が都市部か地方かによって、業務の比重は変わってきます。

例えば、医師が不足している地方の病院では、外来や処置、当直など医師としての業務の比重が大きく、訪問診療や方針などにも、病院長自らで掛けていく場合もあります。一方、都市部の病院では、地域の医療機関や医師会などの会議、自治体との協議会や委員会など、組織の代表としての渉外業務が多くを占めています。

兵庫県で外来ナースとして働くY子さん

兵庫県の姫路市のクリニック(診療科は5科、ナースは10名)で外来看護師として働くY子(仮名)さん。月~金は午前・午後、土曜日は午前の外来があります。他の診療科も手伝いながら10名でやりくりしているので、決して楽な仕事ではありませんが、患者さんに「おかげで、少し楽になりました」と一言声を掛けてもらうのが何よりもやりがいになるとのこと。

外来看護師の仕事で重要なのは、予約外でやってくる患者さんの状態を適切に判断し、既に来院している予約の患者さんの間に診察を入れて、医師の診察をスムーズに行うことです。少しでも時間を有効に使うため、次の日はどんな患者さんが予約を入れているのか、どの時間帯が混雑しそうか、検査は済んでいるかなどの情報を前日の夕方に電子カルテで確認して、あらかじめ流れをシュミレーションしておきます。

現在のクリニックへの転職を決めるまでには、看護師 求人 兵庫県で検索して、自宅から電車で1時間以内で専門を活かせる病院とクリニックを中心に探したそうです。他の看護師の皆さんもY子さんと年齢が近く、結婚して育児もこなしている人が多いため、家庭の事情を理解してくれて助かるとのこと。将来は救急看護の分野の認定看護師の資格を取るのが目標だそうです。

内科の外来患者数は1日50~60日名ですが、そのうち予約を入れている人は半分以下です。それ以外は急患も含めた、予約外の人たちです。予約外の場合、受付で記入した問診表を元に実際に話をして状態を確認し、医師に情報を伝えると共に、この方はやめの診察が必要だから、先にしようという判断も行います。

医師が標準数に足りない「標欠病院」の問題

病院には原則年1回、保健所などの職員がその医療機関の構造設備、衛生状態、医薬人の管理状態などを調べ、不備があれば指摘する「医療監視(立入り検査)」が行われます。2000年代になって、医療安全対策や院内感染対策も項目に加わりましたが、通常は医療の中身を調べるわけではなく、外形的な項目のチェックを行います。

この立入り検査の際、重要なポイントとなるのは病院のスタッフの人数です。医師、看護職員、薬剤師などは、適正な医療水準の確保するため、医療法施行規則で患者数に応じた「標準数」が厳格に定められています。

一般病床では患者16人につき医師1人、患者3人につき看護職員1人など、前年度の平均患者数から、外来を含めた病院全体の必要数を計算します。スタッフの数は、フルタイムの半分の時間働くパートは0.5人とするなど、常勤換算方式を用いて計算します。

標準数を見たなさない場合を「標欠」といいます。最低基準を割っている場合、すぐに診療停止になるわけではなく、まず改善指導が行われます。以前はどれだけスタッフが不足していも行政処分は行われませんでしたが、現在は標準数の半分以下の常態が2年を超えた場合、改善命令や業務停止命令を出せるようになりました。

もう一つは、入院料など診療報酬の減額です。こちらは病院の経営に直結するため、実際に働いていない架空職員を書類上にでっち上げて水増し報告する不正が頻繁に発覚しています。抜き打ち検査を行わない行政の姿勢が甘いことも不正が無くならない原因の一つです。医療法の基準とは別に、看護師の数を水増しして実際より高いランクの入院基本料を得る行為もあります。2002年には、大学の医師らが病院に名前を貸して報酬を受け取る「名義貸し」が全国的に問題となり、厚生労働省はチェックの強化を求めました。

医師不足の「標欠病院」は結構多かったのですが、こうした医療機関の努力が実り、医師数の標準数を充足した施設の割合は年々高まっており、2008年度には90%近くにまでなりました。ただし、近畿の95%に対し、北海道・東北は73%台にとどまっており、医師の大都市を背景とした、著しい地域格差がみられます。スタッフ不足の病院は、医療の質が下がるので、患者側も注意が必要となります。